えるぼし認定の申請方法・流れをわかりやすく|必要書類と期間を社労士が解説

監修:岡本秀興(社会保険労務士/厚生労働省「多様な働き方」有識者委員・2025年度)
※本記事は2026年8月時点の情報にもとづきます。認定基準の詳細は記事「えるぼし認定基準をわかりやすく|3段階の要件と5評価項目の課題・対策を社労士が解説【2026年改正対応】」で解説しています。

まず結論:えるぼし認定 申請の全体像(5ステップ)

えるぼし認定の申請は、次の5ステップで進みます。都道府県労働局へ認定申請書を提出するだけでは取得できず、一般事業主行動計画(※)の策定・公表と、実績づくりが必要です。

 ※企業が従業員の仕事と生活の調和を図り、より働きやすい環境を構築するために策定する計画です。
  常時雇用する労働者が101名以上の企業には、計画の策定・周知・公表・届出が義務付けられています。

  1. 現状把握と課題分析:自社が5つの認定要件(評価項目)の達成状況を確認
  2. 一般事業主行動計画の策定・周知・公表
  3. 都道府県労働局への届出
  4. 取り組みの実施と「女性の活躍推進企業データベース」への実績公表
  5. 認定申請

認定取得までの期間の目安は、現在の会社の状況によって大きく変わります。認定要件をおおむね満たしている企業なら数か月で申請、そして認定取得に至ることもあれば、未達の要件があれば、改善から始めることとなり、その場合は年単位になることもあります。まずは現状把握が出発点です。

STEP1|現状把握と課題分析

最初にやるべきは、「今、認定要件をどこまで満たせているか」の把握です。ここが最も重要で、その後の進め方を左右します。

まず、5つの認定要件(評価項目)に自社データを当てはめ、達成できている項目・できていない項目を切り分けます。必要なデータは、男女別の採用・平均勤続年数・各月の残業時間・管理職比率などです。(各項目の基準は記事「えるぼし認定基準をわかりやすく|3段階の要件と5評価項目の課題・対策を社労士が解説【2026年改正対応】」で詳しく解説しています。)

そのうえで、未達の評価項目が前年度や前々年度等から改善傾向にあるのか、または改善傾向に無いのかを判断。改善傾向に無い場合は今後どう改善していくのか設計します。つまり、「いつ・何を・どうすれば要件をクリアできるのか」を、自社の状況をふまえて総合的に判断する工程です。ここでは、次の点を見極めます。

  • 未達項目は、一般事業主行動計画の取り組み内容で達成可能か
  • 達成しやすい項目・ルートはどれか(例:継続就業は「平均勤続年数比」か「継続雇用割合比」か、等)

現状ではどの段階(1〜3つ星)の認定を取得でき、またはすぐに取得できない状況であれば、いつまでにどの段階を狙えるか

この現状把握と戦略立案を丁寧に行うほど、認定申請までの遠回りを減らせます。自社だけで判断が難しい場合は、専門家の事前調査を活用する方法もあります。

STEP2|一般事業主行動計画の策定・周知・公表

次に、女性活躍の数値目標と取り組みを定めた「一般事業主行動計画」を策定します。策定指針にそって作成し、社内への周知と、自社サイトなどでの外部公表を行います。

一般事業主行動計画は、認定の土台です。目標が形式的にならないよう、STEP1で見えた課題に紐づけて設計するのがポイントです。特に、数値目標は、STEP1で特定した評価項目の認定基準(例:継続就業なら平均勤続年数比7割以上、継続雇用割合比8割以上など)に対応させて設定することが重要です。基準値とかけ離れた目標では、行動計画は策定できても認定基準を満たせない可能性があります。

STEP3|都道府県労働局への届出

策定した一般事業主行動計画を、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)へ届け出ます。届出は、認定申請の前提になります。

STEP4|取り組みの実施とデータベース公表

一般事業主行動計画にそって取り組みを進め、実績を「女性の活躍推進企業データベース」に公表します。えるぼし認定では、評価項目の実績をこのデータベースで毎年公表することが求められます。

STEP5|認定申請と必要書類

要件が整ったら、都道府県労働局へ認定申請します。主な必要書類は次のとおりです。

必要書類内容
基準適合一般事業主認定申請書認定を申請する基本書類
一般事業主行動計画の写し申請年月日を含む計画期間のもの
周知・公表を示す書類社内周知資料や公表先HPの画面印刷など
認定申請関係書類(実績を明らかにする書類)評価項目の実績を示す指定の申請様式
実績の公表日がわかる書類女性の活躍推進企業データベースの実績公表画面の印刷など
関係法令遵守状況報告書法令遵守の状況を示す書類

なお、申請書の具体的な記入方法や記入例は、別記事で詳しく解説します。本記事では全体像と必要書類の把握までを扱います。

申請の時期・認定までの期間

申請時期に決まった締め切りはありませんが、実務では「いつ取得したいか」から逆算して動くのが基本です。例えば、建設業で経営事項審査(経審)の加点を狙う場合は、決算のタイミングと連動するため、期限に間に合うよう計画的に進める必要があります。

認定までの期間は、現状の認定要件の達成度しだいです。要件をおおむね満たしていれば比較的短期間で、未達項目の改善が必要なら相応の準備期間がかかります。

取得後の更新について

えるぼし認定は、取得して終わりではありません。一般事業主行動計画や実績は、認定申請から1年以内ごとに情報を更新していく必要があります(「えるぼし 更新方法」)。更新の具体的な手順や注意点は、別記事で詳しく解説する予定です。ここでは「毎年の更新が必要」という点だけ押さえておきましょう。

よくある不備と対策

申請書類に不備があると、都道府県労働局から連絡が入り、対応に時間がかかります。よくある不備は次のとおりです。

  • 必要書類の添付漏れ
  • 数値の記入方法の誤り(項目により小数点以下の桁数指定がある)
  • 「いずれかを記入」の項目で、不要な欄まで記入している
  • 女性の活躍推進企業データベースへの実績公表が反映されていない

対策は、提出前のチェックを丁寧に行うことに尽きます。とくに女性の活躍推進企業データベースの公表状況は見落としやすいため、画面で反映を確認しておくと安心です。専門家の支援では、こうした不備を事前に洗い出し、都道府県労働局とのやり取りも代行できます。

自社で申請するか、専門家を活用するか

えるぼし認定は自社でも申請できます。ただし、一般事業主行動計画の作成やデータ算出、都道府県労働局とのやり取りには専門知識と工数がかかります。

事例紹介

TRIPORTが支援した測量業の株式会社共栄テックは、自社申請でつまずいた後、支援開始から約1か月で申請を完了しました。担当者は「労働局とのやり取りをすべて任せられ、精神的な負担が大きく減った」と話しています。本業に集中しながら確実に進めたい場合は、専門家の活用も選択肢です。

よくある質問(FAQ)

Q. えるぼし認定の申請の流れは?
A. ①現状把握 ②一般事業主行動計画の策定・周知・公表 ③都道府県労働局への届出 ④実績づくりと女性の活躍推進企業データベースへの実績公表 ⑤認定申請、の5ステップです。

Q. 申請にどれくらいの期間がかかりますか?
A. 現在の会社の状況における、要件の達成度によります。要件をおおむね満たしていれば数か月、未達項目の改善が必要なら年単位になることもあります。

Q. 必要書類は何ですか?
A. 基準適合一般事業主認定申請書、一般事業主行動計画の写し、周知・公表を示す書類、認定申請関係書類(実績を明らかにする書類)、公表日がわかる書類、関係法令遵守状況報告書などです。

Q. 取得後に更新は必要ですか?
A. 必要です。実績数値については、申請から1年以内ごとに更新します。詳しい手順は別記事で解説します。

まとめ:現状把握から逆算して進める

えるぼし認定の申請は、現状把握 → 一般事業主行動計画の策定・周知・公表 →都道府県労働局へ 届出 → 実績公表 → 認定申請、の5ステップです。カギは最初の現状把握と戦略立案で、ここが申請までのスピードを決めます。

「自社は今どこまで認定要件(評価項目)を満たせているのか」を知ることが第一歩です。TRIPORTでは、社会保険労務士等の専門家が現状の可否判定から申請までを支援しています。まずは無料診断でご確認ください。