えるぼし認定のメリットとは?加点・税制・融資を社労士が解説【2026年最新】

監修:岡本秀興(社会保険労務士/厚生労働省「多様な働き方」有識者委員・2025年度)
※本記事は2026年8月時点の情報にもとづきます。

まず結論:えるぼし認定の主なメリット

えるぼし認定の取得メリットとして、認定マークがもらえること以上に、主に下記のようなメリットがあります。

  • 企業ブランディングに伴う「採用力強化」
  • 公共調達(入札)での「加点」
  • 賃上げ促進税制の「税額控除の上乗せ」
  • 日本政策金融公庫の「低金利融資」
  • 社内制度・労務環境の整備に伴う「採用力強化」と「離職率低減」

以下、それぞれを具体的に見ていきます。なお、「えるぼし 助成金」で検索する方も多いのですが、この点には注意が必要です(後半で整理します)。

① 企業ブランディングに伴う「採用力強化」

えるぼし認定を受けると、認定マークを求人票・採用サイト・名刺・自社サイトなどに使えます。「女性が働きやすい会社」という印象を、求職者にひと目で伝えられます。

見落とされがちですが、実利的な効果もあります。求人サイトのなかには、「えるぼし認定」を検索条件・絞り込み項目に持つものがあります。認定があると、こうした条件で検索する求職者の目に留まりやすくなります。

さらに、厚生労働省の「女性の活躍推進企業データベース」にも認定企業として実績が公開され、求職者へのアピール材料になります。人手不足が深刻化するなか、採用面のメリットは規模の小さな企業ほど大きく効きます。

② 公共調達(入札)での「加点」

えるぼし認定は、公共調達(入札)で加点評価を受けられます。ここは制度が2種類に分かれるため、整理して押さえましょう。加点は、大きく次の2つの仕組みで得られます。

(1)経営事項審査(経審)の社会性等(W点)での加点

建設業では、公共工事の入札に関わる「経営事項審査(経審)」で加点されます。えるぼし3つ星を取得すると、社会性等(W点)で35点、最終的な総合評定値(P点)で5点の加算※が得られた事例もあります。これはISO取得と同等レベルの加点です。

※同社の決算内容に基づく換算後のW評点。素点ベースの加点は認定段階により異なります 。

事例紹介

TRIPORTが支援した建設業の株式会社つづくは、この加点を目的にえるぼし3つ星を取得しました。「少しずつ積み上げる経審で、この5点は無視できない」と話しています。

(2)総合評価落札方式・プロポーザル方式の企業評価点での加点

建設業以外でも、入札の「総合評価落札方式」や「プロポーザル方式」で、えるぼし認定が企業評価点として加点される場合があります。「ワーク・ライフ・バランス等推進企業評価」として評価されるケースが代表例です。

事例紹介

測量業の株式会社共栄テックは、この評価で得られる0.5点の加点を目的にえるぼし2つ星を取得しました。入札額が同じでも加点の有無で結果が変わる世界で、この0.5点※が受注を左右していたといいます。

※発注機関・入札案件により配点は異なります。

🖼 画像挿入:加点の2つの仕組み(経審W点/総合評価の企業評価点)を整理した図(alt例:「えるぼし認定による公共調達の加点の仕組み」)

③ 賃上げ促進税制の「税額控除の上乗せ」

えるぼし2段階目以上、またはプラチナえるぼしを取得すると、賃上げ促進税制の税額控除率が5%上乗せされます。賃上げを行った中小企業では、最大35%の税額控除が受けられます。
※令和8年3月31日以前に開始する年度については、例外的に45%の適用が受けられます。

適用の条件には注意が必要です。えるぼし(2段階目以上)は「適用事業年度中に認定を取得した場合」が対象です。一方、プラチナえるぼしは「適用事業年度終了日に認定を保有していれば対象」となり、より長い期間で優遇を受けやすい設計です。

④ 日本政策金融公庫の「低金利融資」

日本政策金融公庫の「働き方改革推進支援資金(企業活力強化貸付)」を利用する際、一定の条件を満たせば、通常より低い金利で融資を受けられます。設備投資や事業拡大の資金調達で有利に働きます。

⑤ 社内制度・労務環境の整備に伴う「採用力強化」と「離職率低減」

えるぼし認定の取得プロセスは、社内制度を見直す好機にもなります。認定要件を満たす過程で、就業規則や各種規程が整備され、また社内制度について改めて社内周知されるためです。

とくに、女性が活躍しやすい環境づくりとして、短時間正社員制度・フレックスタイム制度・在宅勤務制度といった多様な働き方の導入・活用を進められます。こうした制度は、採用力の強化だけでなく、離職率の低減にもつながります。働きやすさが上がれば、せっかく採用した人材の定着も進む、という好循環が生まれます。

共栄テックの事例でも、認定取得をきっかけに古い就業規則や労務書類が再整備され、「労務環境がアップグレードした」と語られています。

(参考)「えるぼし 助成金」の実際|よくある誤解の整理

「えるぼし 助成金」で検索する方が多いのですが、ここは正確に理解しておきましょう。えるぼし認定を取得したこと自体に対して直接支給される助成金は、基本的にありません。

えるぼし認定の実利は、助成金ではなく、これまで見てきた「公共調達の加点」「賃上げ促進税制の上乗せ」「低金利融資」等にあります。女性活躍や両立支援の取り組みを進める過程で、別の助成金(両立支援等助成金など)の対象になる可能性はありますが、それは「えるぼしの助成金」ではなく、女性活躍に関する各種取り組みにおいて、助成金が活用できる可能性がでてくるという考え方となります。混同しないよう、実利は加点・税制・融資で捉えるのが正確です。

デメリット・注意点

デメリットという訳ではありませんが、メリットの一方で押さえておくべき注意点もあります。

  • 取得後の維持義務:評価項目の実績を毎年公表し続ける必要があります。
  • 認定取消のリスク:基準に適合しなくなる、2年間情報公表を怠る、法令違反などがあると、認定が取り消される場合があります。取り消されると、認定マークの使用もできなくなります。

これらは「認定を取得して終わりにしない」ための運用で対応できます。取得後も取り組みを続ける前提で計画を立てることが大切です。

よくある質問(FAQ)

Q. えるぼし認定に助成金はありますか? A. 認定自体に直接支給される助成金は基本的にありません。実利は公共調達の加点、賃上げ促進税制の上乗せ、低金利融資等です。

Q. 建設業でのメリットは? A. 経営事項審査(経審)で、えるぼし3つ星なら社会性等(W点)35点・総合評定値(P点)5点の加点が得られた事例もあります。ISO取得と同等レベルです。

Q. 賃上げ促進税制の上乗せとは? A. えるぼし2段階目以上・プラチナえるぼしで税額控除率が5%上乗せされ、中小企業では最大35%の控除が受けられます。

Q. デメリットはありますか? A. 認定取得後も毎年の実績公表が必要で、基準を満たさなくなると取り消される場合があります。継続的な取り組みが前提です。

まとめ:実利は加点・税制・融資と採用力

えるぼし認定のメリットは、採用力の強化に加え、公共調達の加点、賃上げ促進税制の上乗せ、低金利融資といった実利にあります。社内制度の整備を通じて、採用力強化と離職率低減の好循環も生まれます。

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